笑いのアル生活

日常にクスッとした笑いをみつけたい

心霊ボイス

ネットのダラ見をしていると
「心霊ボイスの入っているCDを知りませんか?」という書き込みがあり、
「わたくしなんて4,5枚は持ってるもんね」と回答したい衝動にかられ、
もちろんボイスはボイスでも「心霊」なんかじゃありません。

ピアニストのグレングールドは
ウイキペディアによると「鼻歌」の入っているCDが多く、
でも、あれって鼻歌レベルは逸している。
「叫び声」とまではいかなくても「うなり声」。

録音技師が
「声を出すのをやめてくれ」と懇願しても
「演奏できない」と拒否され、
ピアノとグールドの間に板を置いたなんて逸話も残されているほど。
(鍵盤が見えないじゃない!)

演奏家はいったん頭の中で音を作って(鼻歌をうたって)から楽器へ表出するので
「鼻歌」とピアノの音はずれます。
タイムラグがあるのです。
だから「鼻歌」は音楽の一部とはなりません。

分かりやすい例として指揮者とオーケストラとの関係があげられます。
指揮者が指揮棒で
「これくらいの音をこれくらいの大きさで」と指示をすると
オーケストラの団員は
「フムフム、了解」
とコンマ数秒後に弾く。
これを繰り返しているのですが、
ソリストの場合は
「これくらいの音をこれくらいの大きさで、テンポはこれぐらい」と
先に自分の頭の中で音を聞いてから楽器を奏でています。

演奏に先んじて行う頭の中での作業は
頭の中にとどまるのが普通ですが、
グールドの場合は「鼻歌」となって表出されてしまうのです。
こらえしょうがないですね。

「おかげで曲が解釈しやすくなっている」という人がいれば
“雑音(心霊ボイス)”が入っていると感じる人もいるわけです。

ある武道の雑誌に
ホロヴィッツなど卓越した演奏家は、音を出す前すでにその音を聴いている」
というニュアンスのことが書かれていて
続けて、
「空手で板を割るときは、割ることに集中するのではなく、割れた板をイメージしなさい」
とあったのには、「なるほどなぁ」と感心させられたことが思い出されます。

どんな分野でも
極めれば、そこには共通するものがあるということで

[http://:title]