これはホントの話ですが、
四国へ行くと
特に人の少ない田舎へ行くと
「祖先は平家の落人で・・・」という語噺しを耳にすることがあり、
わたくしもある老人が初対面なのに
「祖先は平家の落人で・・・」といきなり切り出すので
「へえ、そうなんですか」と軽いノリで笑い飛ばそうとしたところ
マジメな顔で延々と語り出すのにはビックリしてしまい、
これは関西によくある話の「つかみ」ではなく
マジで先祖自慢してるんだということが分かってきて
失礼ですが源氏と平家の物語に興味はなく、
ましてやこのご老人の素性には何の関心も抱かず、
「四国には平家の落人がたくさんいらっしゃるのですね、別の方からも同じ話を聞いたことがありますよ」
なんて下手なことを言おうものなら
怒り出しかねないオーラをまき散らすので
「そうですか、そうですか」と
こちらもマジメに相づちを打ってさしあげ、
そういえば
瀬戸内地方で「村上」姓の方は
ご先祖様が村上水軍の関係者であった
(と信じておられる)方が殆どなので
彼の地へ旅される方におかれましては
くれぐれも注意なされますようご進言いたします。
※「つかみ」=導入部分、まえふり。落語などでよくあるように、まずネタとは関係のない話で観客を惹きつけておいて本題に入る手法。関西人は、初対面の相手に対して自己アピールするための「つかみ」を持っている方が多い。たとえば、ぽっちゃりした方が「わたしくまのプーさんの熊野です。よろしく」とか、長身の方なら「わたし手の長い長手です」。あるいは背の低い方が「わたし背は低いけど長手です」てな感じ。