日本人以外ではじめて直木賞を受賞し
実業家としても様々な分野で成功した邱永漢のファンだったのですが、
彼がエッセイの中で
「うなぎの養殖を手がけたときのこと、生けすの中にはどうしても育ちの悪いうなぎができるので、そうしたうなぎばかりを集めて別の生けすに移すとすくすくと育つ。それでも一定の割合で育ちの悪いうなぎができるので、それらを集めてまた別の生けすに移す。するとまた全体に育つが、育たないうなぎも同程度できる」
と何度も書かれていたので、
よっぽどうなぎの養殖が好きなんだなぁ
といぶかしく思っていたのですが、
10年ほど経って分かったのは
彼はうなぎのことではなく人間について
つまり自分の会社で働く部下のことを書いているのだと思うに到り、
このたとえ話は
「同様に、育ちが良いうなぎを集めても一定の割合で育たないうなぎができる」
と締めておりました。