古本屋を漁っていると「トスカニーニ」の伝記があったので購入。
(「トスカニーニ」H.タウブマン著 渡辺暁雄訳 創元新社 1966年初版)
トスカニーニは第二次世界大戦をまたいで活躍したイタリア系の指揮者で、
同時期に活動していたドイツ人フルトヴェングラーと何かと比較されることが多く、
多分日本人の大多数がフルトヴェングラー派。
というのも、
トスカニーニは完璧主義者であり一種の独裁者のようで、
悪態をつくのは日常茶飯事。
指示どおりに演奏しなかった団員をバイオリンで殴ってあわや訴訟問題に発展しかけた
なんて逸話もあるほど。
最初にそんな話を聞いていたので、
悪いやつ=音楽もダメにきまってる
みたいな図式を頭の中へ勝手にえがき
演奏はほとんど聴いたことがなかったのです。
それが伝記を読むにつれ、
一度どんな音楽だったのか聴いてみたくなり、
youtubeを検索するとかなりの量がヒットしました。
で、聴いてみると意外といける。
ベートーベンの同じ交響曲を何年も経ってからレコードを出すと
たった2秒しか違わなかったといわれるほどの正確さ。
ただ、それは機械的な正確さではなく、
指揮された楽団員は
どんなに優秀な演奏者であっても
毎回新しい啓示を受けたといわれる指揮。
弱さなどみじんも感じられない強い意志に満ちた演奏。
彼のワグナーなんてふさわしすぎる。