会社の方との雑談で、
独り暮らしをしている子どもが久しぶりに帰ってくるというので腕を振るっても、
「何?このメニュー。まるで仙人の食事みたいやん」
と喜んでくれないそうで、
そう言われてみれば
わたくしの祖母が作ってくれていた食事は
野菜の煮たものや煮魚が中心。
時々クジラのステーキなんてのもありましたが、
今世の中でありがたがって食べているような代物ではなく、
学校給食で出るクジラのショウガ煮込みとほぼ同じ味。
ステーキではあってもあの独特の臭みはいつまで経っても慣れず、
きっと安かったから食卓にあがっていたのでしょう。
子どもだったわたくしは下ごしらえから焼くまでをじっくり観察しており、
その手順に手抜きや間違いはなかったはずで、
つまりどんなに調理してもクジラの肉はクジラの肉なのです。
(クジラクジラと目くじらをたてておっしゃる方って、ほんとうに美味しいと思って食べてらっしゃるのでしょうか。希少価値だけでおいしがっているような気がしてなりません)
そしてその他の動物性タンパク質は卵焼きぐらいなもので
食事が食事じゃないみたいに感じていました。
それがこの歳になると不思議にあの味が懐かしく、
(注:クジラは除く)
フキの漬物や鰆のミソ焼き豆腐とほうれん草の和え物など
今では家でしか口にすることができない高級品となってしまい、
家族にはそうしたメニューをオーダーするのですが、
「こんなんじゃ食べた気がしない」と
子どもだけ独りステーキが我が家の現状。
でもきっといつかはステーキやハンバーグを卒業するはずで
そうでなけりゃ日本人じゃない。
それで思ったのは、
アメリカ人て70になっても80になっても
コーラ片手にハンバーガーとポテトを胃の中へ流し込んでいるのでしょうか。
それとも改心して野菜のおひたしや煮魚を食べはじめるのでしょうか。