笑いのアル生活

日常にクスッとした笑いをみつけたい

不良灯油は使わないで下さい

蘇生させるか?

いつものように

散歩友だちのおばさまと雑談していると

「そういえば我が家に使わない灯油があるのよ。主人の足腰が悪くなってからは危ないので石油ストーブは捨て、灯油だけが残ってるの。どうしたらいいかしら?」

と困った様子なので、

「いいですよ。石油ストーブを使ってるからわたくしがもらいましょう」

「でも、かなり前の灯油よ」

「だいじょうぶ。“前年の不良灯油を使わないで下さい”って説明書には書いてあるけど、前年の灯油を使って問題が起こったことはありません」ときっぱりと言い切ると

「じゃあ、お願いしようかしら」とトントン拍子で話がすすみ、

わたくしは

「どれくらいの量かわからないけど、これで灯油代が少し浮くかもしれない」

とさもしい考えもあって、喜び勇んで彼女のお宅へお邪魔すると

軒下に雨ざらしになっている18リットルのポリタンクが2つあり、

「屋外に置いているのか」と心中複雑な気持ちになり、

「だいじょうぶかしら? 20年近くここに置いたままだけど」とおっしゃるので

「だいじょうぶだいじょうぶ」と言いつつも

「20年」と聞いて声が少しかすれてしまい

ポリタンクは雨風に打たれて砂と泥がこびりつき、

1つは満タン。もう1つは半分ほど使いさし。

フタをあけようとするときっちり締まってないのは明らかで、

満タンの方はどうなんだろうとフタを回すとこれも同様。

今考えてみるとフタをきちんと閉めていなかったのではなく、

ポリタンクのフタ自体が劣化して緩んだのではないかとも思われ、

灯油のにおいをかぐと

あのつんとした灯油独特の刺激臭ではなく

マイルドではあるが石油製品の溶けたようなにおいがするので

「もしかすると灯油成分が抜け落ちてただのカスになっているのかもしれない。これは着火しないかもしれない」と不安になり、

とにかく持ち帰って人けのない駐車場で、ボロ雑巾に灯油をしみこませて着火してみると見事に火がついたので

「なんだ、ちゃんと火がつくじゃない。これはもしかすると超お買い得だったかもしれない」と倉庫に眠っていた石油ストーブを引っぱり出し、

昨年の灯油が半分入っている状態でいただいた灯油を注ぎ足し、

着火させると見事に点火。

「やった! これで灯油約20リットルの節約」と有頂天。

翌日、灯油が残り1/3ほどになった時点で

「去年の灯油と混ぜたのが功を奏したのかもしれない。最後まで気を抜かずに使い続けるのみ」と古灯油を混ぜ、

でも何かおかしい。

点火してもすぐ消えてしまう。

着火しているのに消えてしまうとは何事だ?

と何度もなんども繰り返すのですが結果は同じで

回数を重ねると着火すらしなくなり、

「なるほど、これが不良灯油を使わないで下さいという意味だったのか」と落胆し、

最初、使える灯油と古灯油を1:1ぐらいの割合にしていたので

使いさし灯油1に使える灯油1の割合で調合すると

それでもすぐ消えてしまい、

「これはいかん」とストーブのタンクをいったん空にして、

使える灯油を入れて点火したもののそれでもすぐ消えてしまう。

 

ストーブの問題もさるものながら、

古いけど易々と燃えてしまう灯油をどうするのかという難問も待ち構えていて、

このままでは捨てられないので

「使わなくなった古いバスタオルにしみこませて燃えるゴミの日に出す」

「500mlのペットボトルに移し替えて少しずつ燃えるゴミとして出す」

という案を考えたのですが、

何かの拍子にそれが引火して

犯人捜しとなり、

「そういえばわたしの家にあった灯油をひきとってくれた人がいたけど、もしかすると・・・」

なんてことになってはイヤなのでこの案は却下。

「家の前の排水溝に捨てる」という案は

最近減ってきましたがタバコのポイ捨てをされて引火し、

わたくしの家まで燃え移ってなにもかも消滅、というのもイヤなので却下。

「闇夜にまぎれて山の中へ不法投棄しに行く」のは

不法投棄するためには駐車できるところでなければならず、

どうしても場所が限られていて不法投棄の山になっている。

もしそんなところに捨ててタバコのポイ捨てをされたら

あっという間に山火事になってとんでもない。

あるいは「恥をしのんで、やっぱりこれはお返しします」

とおばさまに返却することも考えたのですが男の見栄がそれを許さず、

「そういえば劣化した灯油類はガソリンスタンドでひきとってくれるという話を聞いたことがあるぞ」と有人のガソリンスタンドに確認してみると

リッター28円でひきとってくれるらしく

すぐさま引き取ってもらって588円也。

 

話は元に戻って

「劣化した灯油がストーブの芯につまったのか、芯が燃えてしまったのか、ストーブのタンクから燃焼室までの間で何か良からぬことが発生しているのか」と想像するのですがどうすることもできず、

昨日は日曜日だったので

「古い灯油よ、全て燃え尽きてくれ」と心の中で願いながら「着火」⇒「3分ほどで消火」を繰返し、

今朝になって点火させてみると

写真のとおり赤々とした炎に包まれ、

「やった、なんだやればできるじゃない」とぬか喜びしたのもつかの間

5分もしないうちに自然と消えてしまい、

おりしもホームセンターのライン広告が入ったので見てみると

まったく同じ機種が税抜き8,480円。

ホームセンターへ行くと替え芯2000円ほど。

ここは芯を交換して2000円で済ますか、

新しいストーブを購入するかで七転八倒しながら苦悩しつづけ、

妻からは

「家の中で石油ストーブをつけたり消したりしたら、家中灯油クサくなるんだから。電気ストーブがいいと思うんだけど、とにかく早く新しいの買いなさい」とこともなげに言い放ち、

それは最後の選択肢として考えてはいるのですが

なんとしてでも安くしあげたいという気持ちは変わらず、

うん。

今回の教訓は

「目先の利益にとらわれるととんでもなく損をする」ということでいかがでしょうか。

 

追伸:昨年も同じストーブネタがあったはずで、毎度お騒がせのストーブです。