笑いのアル生活

日常にクスッとした笑いをみつけたい

人間万事塞翁が馬

またしても散髪の話です。

先日全国チェーンの散髪屋へ行ったときのこと、
日曜日ではあっても夕方なので閑散としてお客はまばら。
「見込んだとおりちょうどいい時に来たわい」とほくそ笑み、

髪を切ってもらった後にひげ剃りをしてもらうと女性の方が担当で、
お客が少ないせいかとても丁寧。
カミソリを入れた後に
もう一度クリームを塗ってそり残しがないか顔をなで回してくれ、
男性のそれとも、いつもの女性のそれとも違って
肌にタッチする力加減が絶妙としか言い様がなく、
それを何度も何度も繰り返してくれるものだから
顔が自然にニヤけてきてしまい、
「こんなのだったらずっと触っていてもらいたいよ!」
と叫び出したくなるほど官能的。

「シャンプーはなさいますか?」の声かけに
「今日はお願いします」と即答し、
(このチェーン店では洗髪はオプションなのです)
「いよいよ洗髪だ。どんな感じで洗ってくれるんだろう」と
ドキドキしながら身構えていると
「あなた、もうあがって。あとはわたしがやるから」と別の女性と交代となり、

シャンプー前に話しかけてきたので
「えっ、何ですか?」と訊ねると
「あなたじゃないのよ」と別の男性従業員との雑談らしく、
意気消沈して洗面台に頭を差し出すと
(男性用は座った状態で頭を差し出すのです)
ガーッと頭を洗って
バシッバシッと(手荒に)水を切り、
「どこかかゆいところはないですか?」と言葉遣いは丁寧ですが
「耳の後ろがかゆいです」なんて言おうものなら
キッとにらまれて
ガーッとこすられるのが目に見えていたので
(見えはしませんが)
「いえ、かゆいところはございません」とこたえ、
ガー、バシバシ。ガー、バシバシを数回繰り返したあと
いきなり頭を叩きだすので
「これはマッサージなのか? それとも欲求不満をぶつけているだけなのか?」
と怒りにも似た懐疑心満載の心持ちで散髪を終え、

ところでわたくしは近眼のうえに老眼がすすんでおり、
なおかつ散髪中は殆ど目をつむっているので
散髪してくれている方の容姿は判別できないのですが、

髭をそってくれた女性は
若くて美人でスタイルも良く、
洗髪してくれた女性は
太い眉毛に濃いアイシャドー
濃い口紅に真っ赤っかの頬紅をしている中年女性だということが
まぶたを通して分かってしまいました。